こんにちは!耕す太郎です。
「君がため 尽す心は 水の泡
消えにし後は 澄み渡る空」
岡田以蔵の辞世の句です。
「人斬り以蔵」の異名を持つ、幕末四大人斬りの一人です。
天誅と称して佐幕派をたくさん斬った人物です。
上記の句は裏切った彼の師匠である武市瑞山(たけちずいざん)に向けた句だともいわれています。
瑞山に認められたい一心で人を斬り、最後は土佐藩からテロリストとして首を切られる。
狂気に満ちた純粋なる師匠への敬意が踏みにじられた、切ない辞世の句です。
何が正解なのか、全く先の見えない混沌としていた幕末。
そんな本日は!
はい!どん!
「人斬り以蔵」
ちがうちがう。
はい!どん!
「火落ちの腐造」
なんか、ごめんなさい。
そう!
日本酒の「腐造(ふぞう)」です。
「火落菌」と呼ばれる乳酸菌が付着すると日本酒は白く濁り、死んでしまいます。
日本では明治末期から大正初期にかけて、全国で「大腐造」が起こり、多くの蔵や酒屋が廃業に追い込まれました。
火入れ(低温殺菌)推進派とドイツのビールで効果のあった防腐剤サリチル酸の添加派で別れました。
その頃の国立醸造研究所は人手不足でしっかりとした対策も行えず、政府は日本酒への防腐剤の使用を認めてしまうのです。
そこから昭和44年まで使用が続いて行きます。
サリチル酸は現在、飲食物には一切使用されておりません。
当時の造り手たちも何が正解だったのか分からなかったのでしょう。
そんな中、政府からのお墨付きを貰った防腐剤添加を頑なに拒否し、火入れで腐造に打ち勝った酒蔵があります。
現在、大手酒造メーカーの一つ、「月桂冠」です。
周りが防腐剤を添加している中、蔵の存亡を賭け自らの信念を貫いたのは流石です。
人斬り以蔵は土佐藩ではテロリスト。
同じく天誅と称して人を斬っていた伊藤博文は初代総理大臣。
何が正しくて、何が間違っているのか。
はい、分かりません。
ただ、答え合わせの人生なんてつまらない。
進んだ先を正解にするような、そんな一歩を歩みたい。
大事に大事に進んだ先に何が待っているかはお楽しみ。
ここでもう一度、岡田以蔵の辞世の句
「君がため 尽す心は 水の泡
消えにし後は 澄み渡る空」
なんだか前向きな句に見えてきました。
おしまい。